公開: 2021年4月22日
更新: 2021年5月30日
2008年に米国の金融市場で起きた「リーマンショック」は、米国社会の中で、比較的貧しい人々を対象として、不動産の購入を援助するための高い金利の借金(ローン)を、少額の債権に分割して「サブプライム・ローン」として売り出し、それを投資家に売却した。この債権の誕生によって、米国社会の数多くの人々が、自分達の家を所有できるようになったことが始まりであった。
このようにして不動産市場が活気に溢れてくると、新たな人々が不動産を求めて不動産市場に参入する。このため、家の価格は上昇する。初期に、そのような債権を利用して住宅を購入した人々は、供給がひっ迫して価格が上がった自宅を売り、大きな資金を手にした。そして、少しの資金を追加したり、家を売った資金よりも安い価格で、新しい家を購入して、住む人々も生まれた。しかし、これは、日本で言う「ネズミ講」の一種である。
この連鎖は、無限には続かない。家を買いたいと思っている全ての人々が、自分の家を手に入れれば、不動産市場は供給過剰になり、不景気に陥るはずである。その後に残るのは、高額の利子の支払いに苦しむ、数多くの貧しい人々である。そして、そのような債権を購入した資本家の中にも、大量の債権を購入したため、期待した利子が得られなくなり、多額の損失を被る資本家も出現する。
大手投資銀行だった「リーマン・ブラザース」は、そのように不動産債権を大量に買い込んでいた金融機関の一つだった。不動産市場が暴落して、債権が無価値になったため、リーマン・ブラザースは、倒産したのである。この倒産によって、リーマン・ブラザースに多額の投資をしていた日本の金融機関も、膨大な損失を計上することになった。米国社会では、この金融危機を乗り越えるために、政府とFRBは、大幅な金融緩和を行った。